達人たち

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(デイサービス裏庭の農園)

週2日、デイケアサービスに通っています。ここでは利用者が、自分でその日1日のスケジュールを決め、できる限り自分で行動するきまりになっています。もちろん障害の軽重によって違いはあり、移動だけとっても車椅子やカートを押す人や杖をつく人などから、全く元気で闊歩する人などさまざまです。

1日のスケジュールのメニューはーーパン教室、料理教室、陶芸教室、パソコン教室、各種の体操、機械によるマッサージなどから、カラオケ、麻雀、そのほか「ぼんやりする」等等。

私は夏から園芸も始めました。上の画像の農園はほんの一部で、下方の帽子の男性が園芸の師匠です。「師匠」と呼ぶと彼は嫌がりますが、私と同じくデイサービスの利用者で病気の後遺症の軽い麻痺が残っていて杖もついています。

今私が育てているのはセロリと大根。先日間引いたセロリの細い茎と葉を、家で細かく切ってジャコと炒めてふりかけにしました。作り方はデイ利用者のおばあさん達が教えてくれました。美味しかったぁ。

パン教室では、50年以上パン屋さんをしてきたというデイ利用者のおじいさんが、パン生地のこね方などを教えてくれます。柔らかくておいしく焼けます。

やはり利用者で、長く外国で暮らしていたというおばあさんが、英会話を教えてくれる教室もあります。途中で先生が寝てしまうことが多いらしいけど…。

誰かが「布わらじを作りたい」と言ったら「作れるわよ」という利用者さんがちゃんといて、その教室もできました。

「只管」という漢字を即座に読んで教えてくれる、南米で領事館勤めだった楽しいサンバのようなおじいさんもいます。

今は、認知症が入っていても、病気の後遺症で身体が不自由でも、高齢であちこち病気を抱えていても、誰もがかつては輝いていた時を持っています。その輝きは決して失われることはなく、心の中か、脳の海馬の中か、または体の中に刻まれています。彼等は達人たちです。ただ世に出る暇も欲もなかった隠れた名人達です。

このデイサービスの理事長はその独自の運営で雑誌に取り上げられたり、テレビにも出たらしいけれど、利用者の達人たちこそ出るべきだったと思えます。もし、

「プロフェッショナルとは?」と訊かれたら、きっと楽しげに、懐かしそうにこう答えると思います。

「長く生きること」